秋田禁煙サロン 2010年

このたび秋田・たばこ問題を考える会では、タバコによる健康被害の実態をもっと多くの人々に知ってもらう必要を感じ、会員が交代でコラムを書くことにしました。 このホームページをきっかけに禁煙に成功し、タバコの害から逃れる人が一人でも増えることを切望します。


2010年12月号 子供の喫煙防止と親の禁煙

ほの花調剤薬局いずみ店 佐藤 拓哉

主に小学生・中学生を対象とした「薬物乱用防止教育」の一環から「喫煙防止講話」活動を始めて約10年になる。内容的に難しい話は無理なので、実験やスラ イド、動画を主に、とにかく「タバコの三悪(ニコチン・タール・一酸化炭素)」について説明している。終了すると養護教諭が必ず感想文を書かせるが、面白 いことに生徒は異なれ毎年同じ感想内容が書かれている。『両親に「タバコの三悪」のことを教え、すぐにもタバコをやめてほしいです。』 2010年5月の全国喫煙率調査結果では、男性は36.6%と前年度より2.3ポイント減少(117万人↓)、女性は12.1%と逆に0.2ポイ ント増加(11万人↑)。女性の増加に目を見張りつつ、男性もまだまだ多い喫煙率と思う。また、年代別割合では男女共に30歳代がトップであった。30歳代といえば小学生のお子さんを多く持つ年代なのではないでしょうか。

最近の講話時には必ず両親の喫煙の有無を確認してから話し始めている。また、「三悪」に加えて「受動喫煙による害」ついても多く触れることにした。これは生徒に対してはタバコによる直接的な健康被害の情報の他、普段の環境下、いわゆる自宅で誰かが喫煙することで自分にも健康被害が及ぶことを理解 してもらうためと、その両親もタバコの害の知識を持ってもらいたいというのが狙いだ。結果、その後の感想文では「みんなが乗る車の中では誰もタバコを吸わなくなりました。」と少し喜ぶ反面、「自宅に空気清浄機を用意したのでタバコの煙も安心です。」と・・・。しまった。すっかり忘れていた。タバコの煙に含 まれる発がん性物質の殆どはガスで、空気清浄機のフィルターを通り向けること、生徒たちに話していなかった・・・。


2010年11月号 無知と貧困の問題

聖霊女子短期大学付属中学・高等学校 小笹 典子

9月にインターネット上に公開されたニュース「1歳8ヶ月の男児が喫煙 インドネシア」は衝撃的でした。1日半箱のペースでたばこを吸っており、父親は「たばこがないと泣き出す」ために容認している様子です。依存症になっていることは明らかで、日本だとさしずめ「虐待」の扱いになることでしょう。写真も公開され、まだあどけない表情ながら、たばこを手にして無心に吸っている姿には、本当に驚かされました。
ただし、多分この父親はたばこの有害性についての正しい認識がないからと考えられます。さらに「病院に連れて行きたいが、費用が高いと聞いた」と困惑している様子から背景には経済的な状況、問題があるようです。もちろん、たばこの値段も日本の8分の1程度(50円前後)。ひもじさから手をだしたのかもしれません。「無知と貧困の問題」は、エイズをはじめさまざまな健康上の格差にもつながっていると思います。教育現場にいるものとして、少なくとも生徒が「知らなかった」ということのないように指導の充実を図らなければという使命感を新たにしています。
日本では喫煙率がわずかながら減少しているにもかかわらず、若い女性の喫煙率が増え続けていることに、危機感を覚えています。女子校に勤めているので、母性保護の観点からも、確実に正しい知識を持たせて、最初から吸わない女性であって欲しいと願わずにはいられません。
本校では今までの「喫煙防止講座」を今年度からは、「薬物乱用防止講座」に切り替え、中学生、高校1年生に開設しています。今年度は、本会の会員でもある薬剤師の佐藤 拓哉先生に講師をお願いしました。その中でたばこの有害性、特に女性の場合の危険性という点を強調していただき、大変効果的で成果があったことが事後の生徒のアンケートに記載されていました。学校教育が基本ですが、あらゆる場での「教育・研修の機会」は重要だと思います。そして同時に社会環境の整備は喫緊の課題だと思います。今後受動喫煙の害を最大限に減らすために「労働安全衛生法」の改正に期待をしているところです。


2010年10月号 禁煙治療薬が品切れ!― 禁煙希望者の気を消さず、たばこに点る火を消そう

秋田県 産業医 萱場 恵

10月1日、たばこが値上げされました。これまでにない大幅な値上げということでしたが、諸外国に比べるとまだまだ安価で、値上げという経済的負担は禁煙の動機としては最も有効と期待していた私にとっては残念なものでした。それでも、これを機に禁煙を始めた方が全国的に激増し、その結果、内服薬やニコチン貼付薬といった治療薬が品切れしてしまい、禁煙外来では新規患者さんの受け入れができなくなってしまいました。一大決心をして治療を受けたいと受診された方の決意が揺らがないかが危惧されます。
現に10月中旬には、極端に落ちていたたばこの売り上げが徐々に回復の兆しをみせているとのこと。値上げ前の買い溜めが底を突いたとも考えられますが、禁煙を断念した方も含まれるのではないでしょうか。こんな時こそ、禁煙指導者としては、薬物を用いない禁煙方法も提案したいと 思っていたところ、タイミングよく11月6日に予定されている禁煙指導者講習会の講師として「リッセット禁煙」を提唱された磯村毅先生が来秋されます。 「気づき」「心の整理」をキーワードとして、我慢を強いない禁煙を推し進めていらっしゃいます。直接お話を伺えることで、禁煙外来の場で、苦悩する禁煙志願者に適切なアドバイスをするノウハウを教えていただけるものと楽しみにしております。江戸の昔に、貝原益軒は「煙草の性は毒である」と記しました。それは健康の害になること、火災の原因になること、耽溺性があること、出費がかさむこと、それゆえ最初から近づかないのが良いと言っています(『養生訓』巻第四60伊藤友信訳 講談社学術文庫)。300年たった今なおその教訓が 生かされていないことが残念です。


2010年9月号 携帯電話が人体に有害だったら・・・-受動喫煙防止は誰のために-

秋田・たばこ問題を考える会事務局長 すずきクリニック 鈴木裕之

受動喫煙の危険度はかなり高く、日本では年間、1万9000人が受動喫煙で死亡していると国立がんセンターが発表している(2003年5月)。また10万人あたりの死亡リスクは交通事故死より約5倍も高いと報告されている(松崎道幸、1998年)。さらに同室の喫煙者が5本吸うとその部屋の非喫煙者も1本吸ったことと同じになるとも言われている。
この受動喫煙防止対策として世界の潮流は屋内での全面禁煙に向かっているのに(2011年からは中国でも公共施設は全面禁煙となる)、日本では「分煙でも可」などと本質を理解してない政策がまかり通っている。なにが本質かと言えば、お客さんの受動喫煙被害を防ぐことと同時に職場で働く職員の受動喫煙防止なのである。この本質がわかれば「分煙」が許されはずのないことは自明である。
たとえば、携帯電話の電波が人体に有害だとなったら(実際に有害な場合がある)、いくら便利とは言え、お店や社内、公共交通機関での使用は厳に慎まれるはずだ。現在の「ケータイの使用はマナーを守って」などという悠長なことではすまずに、携帯電話はナイフと同じく「凶器」になり、法的に規制がかけられ、いずれはこの世から消えてしまうだろう。
だとすれば、なぜ明らかに有害なタバコが同じ扱いを受けないのか私にはとても奇異に感じる。「ストレス解消」「嗜好品」などという理由は百歩譲っても(譲る気はないが)、「有害物質」のレッテルの前には意味をなさない。周囲の人たちの健康よりも個人の嗜好が優先される社会に住みたいとは誰も思わないはずだ。
経営の基本が「お客様第一」とはいえ、喫煙を許可するということは職員の健康が犠牲になることだと社長さんや店長さんに認識して欲しい。多くの経営者が二の足を踏んでいる今こそ一刻も早く職場を全面禁煙にすることで、企業をアピールし、イメージアップにつながるチャンスだと思う。


2010年8月号 タバコの値上げに思う

大澤クリニック 大澤佳之

この10月からタバコが値上げになる。3年ぶりである。地域社会において禁煙活動を行っている我々会員にとって、待ちに待ったと言ってよい大幅な値上げになる。様々なタバコ対策があるがなかなか実効性が見えない中で、確実に効果的なのがタバコ価格の値上げである事は諸外国の実績からも明らかである。特に未成年が気軽に手を出せない価格設定は未成年の喫煙開始率を大幅に低下させるのではないかと期待される。今度の、値上げでは銘柄で多少の違いがあるが、概ねタバコ1箱あたり100円の値上がりであり、過去に例をみない大幅な値上げである。普通のタバコは1箱400円となる。しかし、まだまだこれで良しとしてはいけない水準なのである。多くの先進国のタバコ価格には遥かに及ばない。ちなみに、英国や米国の諸州においては、タバコの1箱は、800~1000円なのである。来年、再来年と同様の値上げが行なわれるように、政府関係者、マスコミに働きかけなければならない。ある試算によると、タバコ1箱が約600円になってようやく、タバコによる健康被害などの社会的損失の額と拮抗するのだそうだ。もし、租税徴収の効果やタバコによる社会的被害のさらなる軽減を期待するならば、600円に上乗せする額を設定すべきであろう。欧米におけるタバコ1箱の価格である800~1000円が非常に妥当に思える。ところで、マスコミの好きな単語に、愛煙家と言うのがある。タバコの値上げが発表されるたびに、報道記事の中に愛煙家の単語が飛び交うのだが、いかにも愛煙家と言う善者が困惑しているかのような響きを感じ、個人的に愛煙家と言う単語は好きではない。単に喫煙者と呼べば良い。マスコミは愛煙家と言う表現は使わないでもらいたいといつも思っている。


2010年7月号 「喫煙率半減」の目標設定をもう一度

菅原内科クリニック 菅原真砂子

 「健康日本21」の成果について評価の時期となりましたが、かつての「未成年者喫煙率を0%に」「10年間で喫煙者全体の喫煙率を半減」の2つの目標が、財務省とタバコ業界の猛反発にあい、後者が目標からはずされたことが思い出されます。この間に医療、教育関係者の努力により子供たちの喫煙率が大幅に低下しましたが、成人の喫煙率の低下は遅々として進まず、むしろ若い女性の喫煙率は増えつつあると危惧されています。平成19年に厚労省の「がん対策推進基本計画」が策定され、10年以内にがんによる死亡者を75歳未満の年齢調整死亡率で20%減少という大きな目標が掲げられましたが、これは「喫煙率の半減」「がん検診受診率50%」「がん医療の均てん化」を実現することが前提でしたので、すでに達成は困難と思われます。特に禁煙推進についてはタバコ税値上げとなる今後を見据えて、行政、医療界共同で別の数値目標を掲げ、必死で取り組まなければならない課題と考えます。「喫煙率半減」の目標設定をもう一度提唱したいと思います。


2010年6月号 喫煙は万病のもと

俵谷内科 俵谷幸蔵

かつて「かぜは万病のもと」といわれましたが、現代は「喫煙は万病のもと」といっても言い過ぎではない、と思います。

紙巻きタバコの三大有害成分は、ニコチン、タール、一酸化炭素です。タバコを吸うと、ニコチンの作用により体の血流が障害され、一酸化炭素が赤血球の酸素運搬を妨げ、さらにタールに含まれている発がん物質も加わり、脳こうそく、心筋こうそく、肺がんなど、さまざまな病気を引き起こします。年をとると病気になるのは、体の血流が悪くなって体温が下がり、免疫力が低下するためといわれていますが、喫煙が体内に及ぼす影響は老化現象とよく似ています。すなわち喫煙は老化を速め、全身にじわじわと重い病気を引き起こします。
真綿で首を絞められているようなものです。
さて、「なぜタバコを吸わないのか?」と聴かれると、「命を大切にし、健康で人生を楽しみたいから」と答える人が多い、と思います。病人やけが人が発生せず、みんなが健康で、どこの病院や診療所も開店休業だ、というのが理想です。そして「ピンピンコロリ」あるいは「達者でポックリ」は、ほとんどの日本人が望むことではないでしょうか。
禁煙、バランスよい食事、節酒、快眠、快便など、毎日の生活習慣でその人の運命が決まります。


2010年5月号 秋田にも受動喫煙防止条例を!

秋田・たばこ問題を考える会代表/外旭川病院 院長 三浦進一

5月31日はWHOが主唱する世界禁煙デーです。毎年、日本全国で催しがあり、秋田県でも、県と秋田・たばこ問題を考える会との共催で受動喫煙 をテーマに5月29日(土)世界禁煙デー秋田フォーラムを開催します。このホームページにプログラムが掲載されていますので、これをご覧の皆様、是非お越し下さい。
喫煙は、タバコの主流煙を吸い続ける本人のみならず、その方の吐き出した呼出煙、そしてタバコの先から出る副流煙、これを合わせて環境タバコ 煙といいますが、それを吸わされる周りの方々にも重大な健康被害をもたらし、これを受動喫煙と言います。しかも、煙の中に含まれる強力な発癌物質であるニ トロソアミンなどは目に見えず、瞬時に部屋の隅々に行きわたる恐るべき特性を持っています。どんなに離れていても危険なのです。
本年は、神奈川県で罰則を伴った受動喫煙防止条例が4月に発効し、画期的な年になりました。これに続くべく、他に7県の知事が条例制定を検討中 とのことです。また千葉県柏市も条例化はまだですが、今年の世界禁煙デーからすべての公共施設589カ所の屋外、敷地の禁煙を決めました。秋田県でも条例 の一部にたばこに関する記載があります。興味のある方は是非ご覧ください。
秋田県健康づくり推進条例(第20条 受動喫煙の防止)

仙北市角館伝統的建造物群保存地区路上喫煙の禁止等に関する条例
>>詳しくはこちら
秋田県空き缶等の散乱の防止に関する条例
(吸い殻をポイ捨てした者に、2万円以下科料)

秋田県は全国でもトップクラスのガン、脳卒中の死亡率という問題を抱えており、その原因の一つが喫煙であるわけですから、これからもっと積極的な 喫煙抑制、受動喫煙対策を進める必要があります。現在、国では「労働安全衛生法」を改正し、職場の従業員を受動喫煙の害から守るよう定める方針です。また 税収の安定確保一辺倒で、国民の健康被害については無視する「たばこ事業法」の廃止も検討されています。
さあ、もう他人のタバコの煙の迷惑に黙って我慢するのはやめましょう。皆で自分の、そして家族や仲間の健康を守るために声を大きく唱えましょう。
「秋田にも受動喫煙防止条例を!」と。


2010年4月号 芸能ニュースに隠された喫煙の実態

市立秋田総合病院 添野武彦

禁煙活動をしているせいでしょうか、近頃著名な方々の健康(または訃報)に関する記事が、矢鱈と気になります。例えば、柴田恭兵氏が肺癌になった とか、忌野清志郎氏が喉頭癌で放射線治療をした後、残念ながら亡くなられたとか、藤田まこと氏が食道癌の治療後、大動脈瘤破裂で急逝したなど、枚挙の暇が ありません。しかし、これらの方々が(かなりな本数の)喫煙者であったことは、僅かにしか触れられません。何故でしょうか?偏見で申上げますが、マスコミ の方々も喫煙の恐ろしさを知らないからです。
改めて言わせて頂きますが、タバコには4,000種類もの化学物質が含まれ、そのうち約40種類は発癌物質です。即効性のある物質は勿論ニコチ ンで、血管を急速に収縮させ、簡単に習慣性に陥らせます。そして真綿で首を絞める如く、じわじわと心臓、血管、肺などを痛めつけ、細胞の遺伝子に作用して 発ガンを引き起こすのです。武田信玄の幟の文言ではありませんが、まさしく「風林火山」の様相で、静かに病魔を全身にはびこらせるのです。このホームペー ジでは、タバコの実態をメンバーが交替でお知らせしていきます。そして、禁煙する方が一人でも多くなって、タバコの持つ危険から遠ざかり、清浄な空気の下 で健康な生活を楽しんでいただければ幸いと考えています。


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